コラム 社内SE

転職して3か月で思うこと

2020/09/11

劣悪な労働環境から脱出(転職)して試用期間も終わったので思うことをまとめておきます。

今思えば、どうしてあんなに毎日がストレスフルな職場に4年近くいたのだろうと思うくらい現在は気楽な状態で毎朝出勤できています。

劣悪で未来のないシステム会社とはどういうものか、こういう雰囲気の会社には入ってはいけないという同業者のための戒めのためにも記録しておきます。

仕様書が残されないプログラムが拡大し続ける

前職の勤務先の主力製品にパッケージソフトがございました。

パッケージと銘打つのも微妙なソフトだったのですが、横展開して複数の販売先へカスタマイズして収益を上げるというやり方をしておりました。

それ自体は営業のやり方としては普通のやり方なのですが、カスタマイズでバリエーションを増やしていく過程と反比例して社員数が減っていくという現象が同時進行しておりました。

当初は私はそのパッケージにほとんどタッチしないで済んでいたのですが、愛想をつかして辞めていく社員達が増えていく中でそっちの分野に詳しくない私もパッケージの開発に巻き込まれていきます。

そうはいってもパッケージのオリジナルの部分しか仕様書はありません。カスタマイズにつぐカスタマイズの横展開を続けてしまっているので何を根拠にソースのどこをいじれば良いのかもよくわからない。

ましてその業種の細かい業務知識も私にはない。わからないとこは全部聞け、というのだけれども要はプログラムの仕様が誰もが引き継げる形にはなっておらず完全に特定の人間の頭にしか仕様の詳細がない状態になっておりました。

属人化の先に、そして誰もいなくなった

システム開発としては最悪な属人化の極み、になっていたわけですがこのパッケージに限らずこの会社は全てがコレでした。

一番最初の開発段階での意思疎通のための仕様書はあるのだけども、その後の保守メンテナンス段階になると完全に仕様書の存在がなくなる。仕様のわかっている人間から疑問点を的確に聞き出せない奴が悪い、という仕事の進め方をするわけです。

が、そういう苦難を乗り越えた先に給与が大幅に上がって待遇もどんどん良くなる会社ならまあそれもアリかもしれんませんがね。

低賃金でこき使われてるのに、終始上から目線で「見ればわかるだろ、なんでわかんないだ」という対応をされる中で仕事しても何にも楽しくないわけです。仕様を聞き出すお伺いをするために時間をかけて資料やら何やらを揃える不毛な作業を毎回しなければいけない苦痛。顧客へのヒアリングでそれをやるのはわかる。それは立派な仕事です。

でも仕様書を残さない怠惰を続けてきた管理職にこちらがへり下ってボロクソに言われながら仕様を確認しなきゃいけないってもう意味がわからない。

システム自体も10年以上同じソースの増改築の繰り返しであるためにもはや老朽化したプログラムになっている。属人化の極みを徹底的に推し進めたその人間がいなくなったら破綻するのは目に見えている。

「このままではマズイから新しく作り直しましょう」と提言した社員の言葉にも耳を貸さない。その提言した優秀な社員は一年後退社しました。後に残った社員が貧乏くじを引くんだろうな、と思っていましたが私も転職してしまったので破綻する現場は見ることができませんでした。

満州への後先考えない拡大を行い自壊していった日本軍よろしくそれはそれは大きなクラッシュが遠くない未来に起きるのはわかっているのですが、人が減ってまともなマネジメトが存在しないシステム会社は爆弾が爆発するのを先延ばししながら糊口をしのぐわけです。

爆発した時に居合わせた社員達は地獄を見ることになるのだうろけど、もうワシ辞めたからシラネ。

異様で執拗なコミュニケーション強制

東京で働いていた時は一人で昼休みにボーっとパソコンでニュースを見ながら食事をしたり、イヤホンして昼寝をしていても特に何も言われませんでした。社員が数百人いる中で昼休みに何をしていようがそれはそれ。私が特殊な過ごし方をしていたわけではなく、周りも全部そんな感じでした。というか今どき大きなオフィスは普通そうだと思うのです。

が、前の会社では面談で度々「コミュニケーションが足りない」と昼休みの過ごし方に注文をつけられました。・・・でもね、その職場での会話の内容がパチンコだとかデリヘルなわけで。IT企業に勤めるようなタイプが一番辟易するようなコミュニケーションを強制するから人がいなくなるんだろ、とゲンナリしておりました。

後ろの席では顧客のメールに大声で怒鳴りながら一人で文句言ってるヒステリー社員がいたりと、どうしたって心穏やかにしていられる環境じゃないんだから昼休みは席を外したくなるわけで。

なれ合いだらけにして低賃金でこき使うためにコミュニケーションを強制するのはダメな会社の常套手段です。

意味のわからない社内発表会

大声でヒステリーを起こしながら他の社員を罵倒する意識高い系の女性社員が提言して始まった社内発表会。コミュニケーション強制の延長です。自己啓発の集団洗脳みたいなアレですが、苦痛でした。発表する社員は業務時間内に準備することも許されないもんだからサービス残業で何時間も発表する内容を練らなくてはいけない。

グループでやるわけですが、結局誰かちゃんと案を練る人間がやらなければいけなくなる。「テキトーにやっとけばいいよ」と言う奴に限っていざ発表する段階になるとしどろもどろになる。だから案をしっかり練らなきゃ失敗するんだよ、バカ。

でもそれをやって何の意味があるんだよ、と。仕様書ちゃんと作ることの方が大事だろ、バカ。

大きい会社でもコレ系統は人事部が何かやった気になるだけで何の意味もない催しだと思いますが、大きな会社は余裕があるからまだいい。小さい会社はもっと先にやることが山ほどあるでしょう、と切実に思います。

明確な訓示もないままに責任を押し付けられる

Webサイトの制作を営業の思い付きで頼まれて一生懸命やっていたのですが、営業がアホみたいな安い価格で受注してくる。必死で頑張っていたのに、あまりに単価が安いからとノウハウを蓄積していたところに仕事を取り上げられて別の仕事を割り振られました。

こちらへのフォローは一切なく、「もうWebの仕事はさせない」とだけ言われました。腐りながら他の仕事をしていたのですが、「もうさせない」といっていた仕事を一年ぐらいしたらまた単発的に振られるようになりました。

それに関する説明は一切なし。隙間仕事をスケジュール的に割り振られてるんだと私の方では思います。「もうさせない」と言われてから全くノータッチになっていたわけですから。WordPressですから本当は定期的なアップデートや既存サイトの常時SSL対応なども進めないといけないんじゃないんですか、と提言しても無視されていたので隙間仕事だと思って言われたことだけを対応していました。

で、流石にセキュリティ的にこれだとマズいんじゃないですか?と面談で指摘したら「Webの仕事を振ってるんだから全責任はお前に決まってるだろ。なんでそんな無責任なことを言っているんだ」と叱責され、はらわたが煮えくり返りました。

そんな説明一切しなかっただろお前ら、と。このあたりで完全に心が折れて急速に転職活動の準備を始めました。

おそらく今も4年ぐらい更新していないWordPressのWebサイトが数十ある状態ですが、もう辞めたからシラネ。

メンタルがやられるから漢方に詳しくなる

と、まあ色々なストレスフルなことが続く中で体調がおかしくなるもんだから漢方の勉強をやり始めて専門書を大量に買いあさるようになりました。漢方で体調をコントロールしてなんとか苦行の日々を耐え忍んでいたのでした。

このブログで度々に漢方の記事が出るのはその副産物です。

ホームページにアットホーム感を強調する愚行

私が入った時は20年前のような今どき滅多にみなくなったデザインの会社ホームページをDreamweaverで事務職の人が保守しておりました。さすがにマズかろうと私がこそこそWordPressで秘密裏に新しいサイトを作っていたのですが、社長が事務職の女性に無茶を言い出してケンカになり退職してしまいました。

その後私がテストで作ったサイトで「こんなんどう?」とたたき台として出したら何にも考えてない会社なのであっさりそのまま採用してしまいました。

当初は私がコントロールしていたのでSEO的に、またはブランディング的にマイナスになる様な変な記事は作らないようにしていたのですが、Webサイトの制作から私が外されてから会社の飲み会やBBQ、社員旅行の記事などを頻繁に上げるようになりました。

少し考えればわかることですが、IT職を志向するような若い子達にこういうアットホーム感のアピールは完全に逆効果です。ですが、パチンコやデリヘルと飲み会が日常会話な社員にはそれがわからないらしい。

案の定、売り手市場化も相まってまともな経験者の求職者の応募はパタリとなくなり、若い子も色々落ちた末に探し当てたんだろうなという子しか求職に来なくなりました。

まともなマネジメントが不在で人が去っていく

そして社員が20人近くいた会社が3年そこらでいつの間にか半分の人員になっていました。

あまりに人手が足りないので短絡的に学生のアルバイトで人手不足を補おうと動き出したようで「ああ、本当にどこまでもダメな会社はダメなことを積み重ねて崩壊していくんだな」という香ばしさを感じずにはいられません。

美しき崩壊を期待してやみません。ありがとうございました。

転職して良かったこと

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