漢方

癌になりやすい体質~虚証と実証

2020/01/13

九重親方、大橋巨泉と昭和の大物の訃報が続いています。

どちらも癌が原因とのことですが、漢方の視点からするとどうしても癌になりやすい体質というものがあります。

虚証と実証

東洋医学の分類に虚証と実証という概念があります。

わかりやすく大雑把に言えば虚証は「虚弱体質」寄り、実証は元気過ぎる体力が充実した人。

漢方の大家、医師の丁宗鐵氏は、かねてよりTVで「癌になりやすいのは実証の人」と言っておられました。

もう少し詳しく知りたいので丁氏の著作「がんにならない生き方」を読んだところ、癌になって治療を求めにくる患者さんのほとんどが実証の人であるとのこと。

実証の人の方が割合が多い、というレベルではなくほとんどが実証体質の人なのです。

ほとんどの癌患者が実証。

これはどういうことかというと、身体の無理が効くから癌になるまで無理をしてしまう、ということのようで。

本来ならば無理をして身体の調子が崩れるようなオーバーワークも、実証の人は身体が充実しているからこなせてしまう。

オーバーワークを苦しく感じないものだからさらに無理をし、身体にどんどん負担が蓄積されてしまう。

その負荷の蓄積の結果が癌になってしまう。

癌になっても闘病に闘志を燃やすのが実証体質

普通、病気になれば落ち込んだりグッタリするものですが、実証の人はそこからさらに闘病に並々ならない気力を注いで無理をしだす傾向があるんだそうです。

癌になるまで無理をしていたのだから、そこで立ち止まって生き方を変える道もあるのですが、そうはならない。

癌の進行速度を遅らせ、新たに癌になる箇所を生み出さないように養生を重視した治療に取り組めば寿命を伸ばす方法はあるのに、精力的に同じ癌患者同士のネットワークを作り、闘病記を書き・・・とそれまでのオーバーワークぶりと同じように精力的に闘病活動する。

無理に無理を重ね倒すわけですから、その結果として治療の成果もなく癌が他の部位に転移して広まってしまう。

身体の細胞はオーバーワークに耐えられないんですね。

論語において孔子が何よりも素晴らしいのは「中庸」であるという価値観を展開しており、この思考のベースが東洋思想にはあります。

これは単純にAとBを足して割った平均が「中庸」という話でありません。

理想値として「中庸」を"目指す"んですね。

けれど、この「中庸」を"目指す"のが存外難しい、と孔子も論語の中で何度も繰り返して言っています。

体力が充実していれば、無理をしがちだし、虚弱であればそれなりに養生をしなければいけない。

バランスの取れた状態が「中庸」なわけですから、健康を維持するのもそれなりの知恵と節度がなければならないということなのでしょう。

ちなみに極めて割合が少ない虚証の癌患者のケースは、虚証にもかかわらずオーバーワークをせざるを得なかったタイプの人がそれにあたるそうです。

うん、無理をしないでダラダラ生きよう。

がんにならない生き方―漢方治療の現場から―

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