ポケモンGOでセカイカメラではできなかったAR技術のリベンジ
2019/11/25
ブームに少し乗り遅れつつポケモンGOを細々やり始めました。
AR(拡張現実)技術の存在を一般の分野にまで認知させることができるのはポケモンGOになるかもしれません。
AR技術自体は、何度かブームがありました。
たぶんその中で一番話題性と未来への展望への期待感が大きかったのが、iPhone3GSが出始めた頃にギークの間で一躍有名になったアプリ「セカイカメラ」でした。
どうしてそんなに注目を当時集めたのかは、当時の時代の流れも少し説明する必要があります。
2007年「電脳コイル」放送開始
アニメーションの作画マニアの間では、その傑出した作画技術、演出能力の高さ故に非常に有名だったアニメーター磯光雄。
その磯光雄が初監督としてオリジナル作品を世に出したのが「電脳コイル」。NHKで2007年に放送が開始され、その後何度も再放送されているので、見たことがある方も多いと思います。
「電脳メガネ」というウェアラブルコンピュータデバイスを通して、現実には見えない世界を体験していく描写が斬新で評判になりました。
電脳コイル以前のAR技術は、コンピューターの前のデバイス上で3D映像のメイドさんのホログラフィックが出たりしてなんだかスゴイね、程度のものでした。
ですが、電脳コイルは現実の街の中でAR技術が活用されたとしたら?という視点を持ち込んだ点が先鋭的でした。街の中を違法電脳体駆除ソフト「サッチー」が巡回しているけれど、「神社」には行政上管轄外であるから入ってこれない、等のユニークな世界観。
ポケモンGOで神社などが独特の役割を当てられているのも、「電脳コイル」の影響かもしれません。
放送当時「電脳コイル」は国内外のギークの間で話題になりましたから。
そうしたAR技術の面白さがオタク界隈に広まった後に、満を持して登場したのがセカイカメラでした。
面白さを十分に引き出せなかったセカイカメラ
2009年にリリースされた「セカイカメラ」。iPhoneのカメラを通して見ると、AR技術で見ることができる「エアタグ」と呼ばれる付加情報(テキスト、ボイスメモ、画像)があり、ユーザー側でその情報を作ることもできました。
最初、私は「すごい面白いものが出てきた」と感じたのですが、広がりはあくまで一部のギークの中に留まり「大成功」と呼べるようなものにはなりませんでした。
仕組み自体は確かに面白いのだけれど、AR技術を使ってまで見たい「面白いもの」がセカイカメラの中にはなかったのですね。
ネットと違って現実世界の地理という制約に縛られるために「面白いコンテンツ」を作るユーザーがいたとしても、そのコンテンツを見られるユーザー数は極端に限られてしまう。
そういう限られた場に「面白いコンテンツ」を作ることができるユーザーは集まらない。
この悪循環が起きてしまう。
セカイカメラもどうにかしようとして不動産会社と絡んだりしてお金を確保しつつ何かやろうとはしていたもののジリ貧は避けられず2014年にサービス終了。
AR技術で見たかったのはポケモンという強いIP(知的財産)だった
現実の地理に制約を受けるAR技術を電脳コイル的アイディアを活かしながら多くの人が楽しめるものにしたポケモンGOはセカイカメラができなかったことを成し遂げたと言えるでしょう。
スマホをわざわざあちこち持ち歩いてまで、沢山の人に見たいと思わせるコンテンツは任天堂が育て上げてきた強力なIP(知的財産)であるポケモンだったのは示唆的です。
他のコンテンツ(別のゲームキャラ)ではここまで世界的な広がりにはならないだろうし、ユーザーにコンテンツを作らせる方向と地理と絡ませたAR技術の相性の悪さはセカイカメラで証明済みですしね。
地方活性化と言っても地方のコンテンツが「それほど魅力がない」故に過疎に陥るのと根は同じなのです。結局、良いコンテンツを作らないとどうにもならないということなのでしょう。
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