ネットでしか漢方の知識を集めない危うさ
2018/07/20
ネットde真実というネットスラングがあります。
ネットにある胡散臭い情報を真に受けて真実(と思いたいデマ)に目覚める様子を揶揄する時に使うわけですが、漢方というジャンルも結構この構図にハマる危うさがあるな、と最近思うようになりました。
私も別にそんなに詳しいわけではないんですが、それでも首を傾げる珍妙な光景を見ることがあります。
漢方専門の薬局とかがやっているサイトは、まぁ別にいいんです。
プロが見れば「?」となる記述はあると思いますし、私レベルが見ても教科書的に過ぎやしませんかというサイトがあったりはしますが、今回問題にしたいのはそちらではありません。
問題なのはヤフー知恵袋や匿名掲示板などでの漢方薬についての相談ですね。
とんでもない見当違いの解答が書かれていることが多々有ります。
八味地黄丸は別に高齢者専用というわけではない。
若い年齢の人(20代)が「八味地黄丸」を飲んでいるという相談を書いており、それに対してネット民が「八味地黄丸なんて高齢者が飲むもんだ。若い奴が飲むなんてありえない(失笑)」的なやり取りが掲示板上で展開されていてびっくりしたことがあります。
八味地黄丸というのは下半身に効く漢方薬です。保険適用もされています。
夜間頻尿や坐骨神経痛、下肢の冷え、全身倦怠感などに効くとされています。
高齢者に処方されることが多いのは確かですが、別に20代の人に処方されるのが変なことではありません。
和漢診療学の権威、寺澤捷年氏の著書には10代の男の子に八味地黄丸を処方して効果があった例も普通に書いてあります。
![]() |
![]()
私自身も、若い時に起きた坐骨神経痛が八味地黄丸で収まった経験があります。
だから、なぜ先の記述の通り「若い奴が飲むなんてありえない(失笑)」という反応が起きるのかわからない。
なぜだろう・・・としばし考えて気付きました。
ネット上にある情報が全てだと思い込んでしまう
このネット民達は、ネット上でしか漢方の知識を得ていないのではないか、と。
ネット上にある情報だけだと、確かに八味地黄丸は高齢者向けと書いてある確率が高い。
しかし、腎陽虚の証があれば普通に八味地黄丸を処方されることはあるわけです。
だから別におかしいことではない。
だけれどもネット上の情報だけで完結している人間には「八味地黄丸=老人が飲む薬」という脳内図式が出来上がっているから揶揄をするおかしなことが起きてしまう。
漢方についてネットで知識を得ただけの人間が相談に解答している。
この危うさは結構な問題です。
漢方薬は証を適切に診ることができていれば、体調を劇的に改善させることができますし、だからこそ保険適用がされています。
逆を言えば、証を診ることを間違えば一気に体調を悪化させることもありうるものです。
薄毛に亜鉛が効くかノコギリヤシが効くか、みたいなレベルの当たるも八卦当たらぬも八卦的なサプリメントの相談とはわけが違うので、生半可な知識でネット上で相談に答えるのは危険な加害行為になりかねません。
本なんて読まない層
私も詳しくはないから、専門書などを10冊、20冊と買って勉強したりしています。
自分の詳しくない情報はネットで調べて、確信が持てないなら書籍を買って・・・という流れは普通だと思っていたのですが、それが普通じゃない人達がいるんですね。
全てネットで事足りてしまう。
自己完結するならいいのですが、その勘違いを積極的に広めてしまう。
ヤフー知恵袋には一冊でも漢方についての本を読めば絶対に書けるはずがない珍回答がよく散見されます。
せめて、その返信を書く前に書籍とまではいかなくてもネットで最低限の調査をすれば生まれない珍回答や見当違いの回答の数々。
調べないのに積極的に行動するからこそタチが悪いわけですが、善意は必ずしも良い方向に向かわないという例といえるでしょう。
色々勉強してみて思うのですが、実際に漢方に関してネット上にある情報というのはかなり限られており、プログラム言語について調べるのと同じような感じで利用できるレベルにはけしてありません。ご注意を。
